レゴン・ジャヤ・パングス舞踊 (グンタ・ブアナ・サリ楽団)

有名なレゴン舞踊は、通常2名の女性レゴン・ダンサーと、1名のチョンドン・ダンサーによって踊られていますが、
この度、 f の所属するグンタ・ブアナ・サリ楽団(Genta Bhuana Sari)において、男性の舞踊家によるレゴン・ダンスの公演が行われました。
現在は女性が踊るレゴン舞踊ですが、昔は男性の踊り手によって踊られていたナンディール舞踊や、仮面をつけて踊るサンヒャン・レゴン舞踊を原型にして創作された舞踊だとも言い伝えられています。

Male Legong Dance, Legong Jaya Pangus by Genta Bhuana Sari
美しい男性レゴン・ダンサー

2012年12月12日、ウブドのプリアタン村にあるバレルン・ステージに於いて、プリアタン・スタイルのレゴン舞踊をもとに創作された
「レゴン・ジャヤ・パングス」
という名称の全員男性によるレゴン舞踊が初上演されました。

Male Legong Dance, Legong Jaya Pangus by Genta Bhuana Sari
チョンドンも含め、全て男性舞踊家によって踊られます

この「レゴン・ジャヤ・パングス」は4名の踊り手により舞われます。
最初に女官のチョンドンが登場してソロを踊り、続いてジャヤ・パングスと、その妻カン・チン・ウィーが踊ります。
途中で、デウィ・ダヌという女神も登場して、物語が進んでいきます。
プカアッドと言われる最終部分では、チョンドンは再びマヤ・デナワとして登場します。

この舞踊はアナック・アグン・グデ・バグース・マンデラ・エラワン氏のアイディアにより
アナック・アグン・グデ・オカ・ダレム氏が舞踊を振り付け
イ・ワヤン・ダルヨ氏による作曲が行われました。
舞踊家のイ・マデ・プトラ氏、アナック・アグン・グデ・イスワラ氏、カデッ・アロー氏、デワ・ニョマン・イラワン氏によって踊りが踊られ、我々グンタ・ブアナ・サリ楽団が演奏を行いました。

Male Legong Dance, Legong Jaya Pangus by Genta Bhuana Sari
作曲家のイ・ワヤン・ダルヨ氏と、ゲストで呼ばれた唄い手のマデ・シディオ氏

約45分のこの長いレゴン舞踊は、昔からあるレゴン・ラッセム舞踊と同じ
ププソン、バパン、プンガワッ、プンギプッ、プンゲチェッ、プシアット、プカアッド
という構成で作られています。
そして終焉のプカアッドの少し前に、楽団の演奏者によるバロン・ランドゥンの合奏と、仮面をつけた踊り手の短い舞踊劇が入ります。

legong nandir
踊り子左から デ・アロ、カマンダヌ 、デワ・ニョマン (dewa nyoman) 、イスワラ
中央の m (mayumi inouye)と比べれば、女性との身長差がわかるかと思います

「レゴン・ジャヤ・パングス」は、ラジャ・スリ・ジャヤ・パングス王と、中国から妻として迎えられたカン・チン・ウィー王妃の物語がベースになっています。

レゴン・ジャヤ・パングス

長年連れ添ったこの夫婦には子供がありません。
ある時、ジャヤ・パングス王は妻のカン・チン・ウィーに許可を求めて、グヌン・バトゥール山に瞑想をしに向かう事にしました。
この場所で、王は一人の美しい姫、デウィ・ダナウ女神と出会います。
ジャヤ・パングス王は、自分は未婚の身であると嘘をつき
デウィ・ダナウ女神との間にマヤデワナという子を儲けます。

長い事戻らない夫を探しに、カン・チン・ウィーはグヌン・バトゥール山に向かいます。
そこで子供といるジャヤ・パングス王を見つけ驚きます。
デウィ・ダヌ女神も、自分が騙されていた事を知り、驚きます。

カン・チン・ウィーは、夫が自分の元に戻ってくれるよう、戦いを願い出ます。
デウィ・ダヌ女神は、非常に強く怒り、
その魔力でジャヤ・パングス王とカン・チン・ウィー王妃を焼いて滅ぼします。

王国の国民は、王と王妃の死を悲しみました。
そして、二人を模した偶像を造り、祀るようになりました。

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これが、いま現在もバリ島各地の寺院で祀られているバロン・ランドゥンの起源です。

公演当日は、このレゴン・ジャヤ・パングス以外に
クビャール・ドゥドゥック舞踊がアナック・アグン・グデ・バグース・マンデラ・エラワン氏によって踊られ
さらに、楽曲クビャール・ススン(イ・ワヤン・ガンドラ1964年作曲)が、グンタ・ブアナ・サリ楽団によって演奏&上演されました。

Male Legong Dance, Legong Jaya Pangus by Genta Bhuana Sari
左側の踊り手はアナック・アグン・グデ・バグース・マンデラ・エラワン氏の子息

我々は、この公演が無事に上演出来た事に、また、グンタ・ブアナ・サリ楽団のメンバーともども、楽曲創作の初期から、踊りが完成するまでの貴重な流れを逐一見られたことにも感謝します。
これからもプリアタンのレゴン舞踊が、バリにある他の多くのレゴン舞踊とともに華開いていくことを願いつつ筆を置きます。

Matur Suksma!

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