レゴン・ラッセム舞踊(レゴン・クラトン)

バリ島のガイド・ブックを開くと、必ずといっていいほどバリ芸能のページに登場する古典舞踊が「レゴン舞踊」

レゴンと一口に言っても、数多くの種類があり、昔から踊られているものから、現代のマエストロたちによって創作されるものまで様々で、その数は数えることができません。
バリ島(我々の住む地域で)で、レゴン舞踊の中でも古くから伝わっている有名なものは、レゴン・クラトン・ラッセム舞踊、レゴン・クントゥール舞踊、レゴン・クンティール舞踊、レゴン・スマランダナ舞踊、レゴン・ジョボグ舞踊、レゴン・プラヨン舞踊そしてレゴン・クプクプ・チャルム舞踊です。

レゴン・クラトン・ラッセム宮廷舞踊 女官チョンドン役
children make-up

ここバンジャール・カラー地区では、毎週日曜日に地元の子供達が集会場に集まってサンガル・トゥナス・マラガウィという名称のグループでバリ舞踊の練習をしています。
この定期練習以外に、時々f studioでも、個別の練習をします。
こうやって m (mayumi) が、この2年間舞踊を教えてきたトゥナス・マラガウィの生徒達にとって、その成果を試せる数少ない機会の一つとなるのが、地域の守り神を祀るプラ・チャトゥール・ブアナ寺院の寺院祭。
今回その寺院祭で、レゴン舞踊を踊ることが決まりました。

レゴン舞踊の中から、レゴン・ラッセム舞踊とレゴン・クプ・クプ・チャルム舞踊が、この地区の神様のために奉納されることとなりました。

レゴン・ラッセム舞踊には小学2年生と3年生を一人ずつ選び、チョンドン役とガルーダ役にそれぞれ入ってもらうという配役、レゴン隊のラッセム役とランケサリ役は中学生です。
レゴン・クプ・クプ・チャルム舞踊の踊り手は四名、こちらにも小学生が一人(5年生)、あとは中学生です。

レゴン・クラトン・ラッセム宮廷舞踊 女官チョンドン役
Condong dancers on rehearsal at f studio

レゴン・ラッセム舞踊は日曜の練習でも教えていたので、生徒達には馴染みのあるものでしたが、チョンドン役にとっては未知の舞踊、しかし、とても張り切って練習してくれました。
結局、片方だけ選ぶ事ができず、チョンドン役として二人とも出てくるという形になりました。
レゴン・クプ・クプ・チャルム舞踊は、全員が始めて触れる舞踊です。
楽団も、今回、新しく覚えた曲なので、お互いに緊張。
日曜の練習だけでは指導に限界があるので、寺院祭の前にはほぼ毎日f studioで、個別練習が行われました。

レゴン・クラトン・ラッセム宮廷舞踊 女官チョンドン役
rehearsal at f studio

子供達の覚えの速さは、目を見張るものでした。
そのエネルジックな動きや、教えられたとおりに目を見開いて表情を作っていくエクスプレッションの仕方、 m は、びっくりしました。

そして寺院祭当日の2013年9月28日。
小学2年生のヤンティーと、3年生のゲッ・イラが舞台に登場した時の、聴衆の驚きの声!!
御揃いの衣装を着たお人形のような、小さな子供が二人飛び出してきて、見事にチョンドンを踊りきったのです。
大拍手でした。
プリアタン村は舞踊で有名な地区なので、住民の踊りを見る目は多少なりとも厳しく、姿勢が悪いとか、肘の位置がとか、普通の人がコメントするのですが
今回は、みな、まだ未完成ながらも、これから踊り子になっていくであろうチビッ子舞踊家を、とても温かく声援してくれました。

地元バンジャール・カラーの住民は、これが自分達の地域の子供だということを、とても誇りに思ったようで、翌日も、寺院祭の会場ではこのチョンドンの話題があちこちで聞こえました。

レゴン・クラトン・ラッセム宮廷舞踊 女官チョンドン役
DEBUT!! The third set of Legong Lasem trio, m taught

レゴン・ラッセム舞踊

m が先生から聞いた内容ですので、別の地域では多少異なったバージョンかもしれない事、あらかじめお断りしておきます。

ラッセム王という名の王が、ある国に住んでいました。
ある日、自分の土地を視察していた王は、森を歩いていた美しい女性をみて恋に落ちます。
女性は、ダハ王国のランケサリ姫でした。
ラッセム王は、そのままランケサリ姫をさらって、自分の宮殿へ連れて行きます。

しかし、ランケサリ姫にはコリパン王という婚約者がいるのでした。
熱心に求愛するラッセム王を、ひたすら拒み続けるランケサリ姫。
ついにはラッセム王が怒り、ダハ王国へ宣戦布告すると言い始めます。
ランケサリ姫の兄であるダハ王国の王も、この申し出を受け、戦争へ突入することになりました。

ラッセム王が戦場に向かう道中、ガガッと呼ばれる不吉な鳥(舞踊の中ではガルーダと呼ばれる)が、王に向かって飛び掛ってきます。
これは、凶兆をあらわすもので、「戦場へ向かうな!この戦争は風向きが悪い、お前の命は無いぞ!」というガガッからの知らせでした。
しかし、ラッセム王は、それを払いのけて、戦場へと向かうのでした。
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通常踊られているレゴン・ラッセム舞踊では、上記のストーリー展開で、舞踊が踊られますが
完全版といわれるレゴン・ラッセム・ルンカップ舞踊では、
大臣が戦場へ向かう王に甲冑を着せるシーン
王のために馬を用意するシーンや、、この馬が道で躓いて落馬しそうになるシーン
(ガルーダが来る前に馬のシーンが来る、落馬も凶兆である。)
など、1時間近い時間をかけて、細かなストーリーが入ります。

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